【クラッド鋼】タンタルの特徴と爆着法により製造するクラッド鋼 | ケミアークス

タンタルは元素記号Taで表される、遷移金属です。地殻中に多く存在していない物質や採掘コストが高い金属をレアメタルと呼び、タンタルもレアメタルの一種です。

多くの場合タンタルはタンタル石から採取できますが、スズの精錬時に副産物として得られるケースも多いです。タンタルそのものは銀白色で光沢がありますが、表面に酸化膜を帯びているため青みがかって見えることもあります。

タンタルとニオブは周期律表の第V族にともに属するため、その性質が似通っています。融点が高いことや加工性に優れていること、展延性があることなどはタンタルとニオブに共通する特徴です。また、高温下で加工すれば炭素や酸素などと化合して十分な硬度のある化合物になります。

タンタルは加工がしやすいことから産業分野において多くの製品に使用されています。特に設備工事に活用される熱交換器の素材としてタンタルを加工するケースは多いものです。ほかに、電子工業用の電解コンデンサや電子管材料をはじめとした精密部品や電極、薄膜材料、リベットラックなどにもタンタルが多く使われます。特にタンタルのコンデンサはほかの素材を使ったコンデンサに比べて加工しやすく、小型化が実現できるという良さがあります。また、電流の漏れが起きにくいのも、タンタルをコンデンサ素材に採用するメリットです。

電子工業製品や化学工業製品を加工する場合には、チタンやジルコニウムといった金属が使われることもあります。しかし、硫酸や塩酸などを使用する科学装置を用いる場合、チタンやジルコニウムでは腐食が起きる可能性があります。タンタルの耐食性はほかの金属よりも優れており、硫酸などを使用する装置にも問題なく導入できます。熱交換器や電解槽、科学装置用の塔槽や化学繊維紡糸ノズルなどにはタンタルを主材料とした装置が最適です。

また、生体親和性が高いのもタンタルの特徴です。医療分野では、タンタルは人工骨や人工歯のインプラント材料として使われています。

クラッド鋼の製造時には圧延や拡散接合といった方式を使うことがあります。しかし、チタンやアルミ、タンタルやジルコニウムなど母材や合せ材の選び方によっては、圧延や拡散接合では金属同士が十分に溶着しないことがあるのです。

しかし、爆着法であれば接合させにくい金属を強固に圧着することが可能となります。爆薬は爆発する際に瞬間的に膨大なエネルギーを発します。この高エネルギーを活用した金属圧着法が爆着法です。爆着法は鍛造材を接合したいときや、3種類以上という金属を多層接合したいときなどにも使用できます。

爆着法はあくまで冷間加工なので、素材には熱による影響が及びません。素材の物性を変えてしまう心配がないのは、爆着法ならではの大きなメリットです。

また、爆着法によって作られたクラッド鋼は強固に溶着するため、曲げや絞りなどの加工がしやすいのも特徴です。化学プラント用リアクター・石油化学用熱交換器用管板・圧延機ライナーなど、様々な用途があります。

クラッド鋼の素材として多く利用されているタンタルには、耐食性が高く加工しやすいという魅力があります。クラッド鋼を活用した工業設備を導入する際には、素材としてタンタルを採用するのもよいでしょう。クラッド鋼の特徴をよく把握して、導入を決めるのがおすすめです。

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